具体的な1週間の筋トレメニューの組み方を、もっともスタンダードな三分割法を例に解説します。なお、自宅(自重・チューブ・ダンベル)、ジム(マシン・バーベル)それぞれに例示していきます。
なお、本記事は筋トレ専門サイトGLINTの「筋トレメニュー100種大全」を参照して記載しています。
主な筋肉の名称と作用
筋力トレーニングを実施するにあたり、まず把握したいのがトレーニング対象となる各筋肉部位の名称と作用です。
上図は筋トレの対象である主な筋肉を図解したものになります。
部位分割トレーニングとは
筋肉は筋トレによって負荷を加えると、筋繊維はダメージを負い、その回復には48〜72時間を要します。
このため、一度に全身を鍛える全身法だと週に2回の筋トレ実施が限度になり、あまり効率はよくありません。
部位分割トレーニングとは、筋トレの効率を高めるためのプログラムの組み方で、全身の筋肉をその作用や連動性からいくつかのグループに分け、一週間をかけてそれぞれをローテーションで鍛えていくやり方です。
三分割法の場合、具体的には以下のようにグループ分けします。
①上半身の押す作用の筋肉群
大胸筋:胸の筋肉で腕を前方に押し出し閉じる作用がある
三角筋:肩の筋肉で腕を上・前・横・後ろに上げる作用がある
上腕三頭筋:腕の筋肉で肘を伸ばし腕を横に閉じる作用がある
腹筋群:腹の筋肉で体幹を屈曲させる作用がある
②上半身の引く作用の筋肉群
広背筋:背中の筋肉で腕を前・上から引き寄せる作用がある
僧帽筋:背中の筋肉で肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せる作用がある
上腕二頭筋:腕の筋肉で肘を曲げ前腕を回外させる作用がある
脊柱起立筋:背中の筋肉で体幹を伸展させる作用がある
③下半身の筋肉群
大腿四頭筋:腿の筋肉で膝を伸展させる作用がある
腸腰筋群:股関節の筋肉で腿を前に上げる作用がある
ハムストリングス:腿の筋肉で膝を屈曲させる作用がある
臀筋群:尻の筋肉で腿を後ろに上げる作用がある
内転筋群:腿の筋肉で脚を閉じる作用がある
厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載
筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
筋トレ目的別の回数設定
トレーニングを実施する時に大切なことが「目的に合わせた重さと回数設定をすること」で、この設定が適切でないと思ったようなトレーニング効果が得られませんので注意してください。具体的には以下の通りです。
バルクアップ目的
バルクアップ(筋肥大)を目的としてトレーニングを行う場合は、筋肥大しやすい筋繊維タイプ2b(速筋繊維|白筋)をターゲットにします。このためには10回前後で反復限界がくる重めの重量設定で筋トレを実施します。
体力・身体作り目的
体力・身体作りを目的としてトレーニングを行う場合は、適度に筋肥大する筋繊維タイプ2a(速筋繊維|ピンク筋)をターゲットにします。このためには15回前後で反復限界がくる中間的な重量設定で筋トレを実施します。
ダイエット目的
ダイエットを目的としてトレーニングを行う場合は、あまり筋肥大しない筋繊維タイプ1(遅筋繊維|赤筋)をターゲットにします。このためには20回以上で反復限界がくる軽めの重量設定で筋トレを実施します。
具体的な週3回の部位分割トレーニング例(自宅)
①週1回目のトレーニング(上半身の押す作用の筋肉+体幹の前側の筋肉)
①押す筋肉全体のメニュー:腕立て伏せ(膝つき腕立て伏せ)またはチューブチェストプレスまたはダンベルプレスを2~3セット
②大胸筋のメニュー:チューブチェストフライまたはダンベルフライ(ダンベルベントアームプルオーバー)を2~3セット
③三角筋のメニュー:パイクプッシュアップまたはチューブショルダープレス(チューブアップライトロー)またはダンベルショルダープレス(ダンベルアップライトロー)を2~3セット
④上腕三頭筋のメニュー:ナロープッシュアップ(ベンチディップス)またはチューブキックバック(チューブプレスダウン)またはダンベルフレンチプレス(ダンベルキックバック)を2~3セット
⑤腹筋群のメニュー:カールアップクランチまたはチューブクランチまたはダンベルクランチ(ダンベルサイドベント)を1~2セット
⑥腸腰筋群のメニュー:レッグレイズ(リバースクランチ)またはチューブレッグレイズまたはダンベルレッグレイズを1~2セット
②週2回目のトレーニング(下半身の筋肉)
①下半身全体のメニュー:自重スクワットまたはチューブスクワット(チューブレッグプレス)またはダンベルスクワットを2~3セット
②大腿四頭筋のメニュー:シシースクワットまたはチューブレッグエクステンションまたはダンベルレッグエクステンションを2~3セット
③ハムストリングスのメニュー:ブルガリアンスクワット(フロントランジ)またはチューブブルガリアンスクワット(チューブレッグカール)またはダンベルフロントランジ(ダンベルレッグカール)を2~3セット
④内転筋群のメニュー:ワイドスクワット(サイドランジ)またはチューブワイドスクワット(チューブアダクション)またはダンベルワイドスクワット(ダンベルサイドランジ)を2~3セット
③週3回目のトレーニング(上半身の引く作用の筋肉+体幹の後側の筋肉)
①引く筋肉全体のメニュー:懸垂(斜め懸垂)またはチューブデッドリフトまたはダンベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:チューブラットプルダウン(チューブローイング)またはダンベルローイングを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:パラレル懸垂またはチューブショルダーシュラッグ(チューブリバースフライ)またはダンベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:逆手懸垂またはチューブカール(チューブハンマーカール)またはダンベルカール(ダンベルコンセントレーションカール)を2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:バックエクステンション(ヒップレイズ)またはチューブグッドモーニングを2~3セット
具体的な週3回の部位分割トレーニング例(ジム)
①週1回目のトレーニング(上半身の押す作用の筋肉+体幹の前側の筋肉)
①押す筋肉全体のメニュー:マシンチェストプレス(スミスマシンベンチプレス)またはバーベルベンチプレスを2~3セット
②大胸筋のメニュー:マシンチェストフライ(ケーブルフライ)またはインクラインバーベルベンチプレス(デクラインバーベルベンチプレス)を2~3セット
③三角筋のメニュー:マシンショルダープレス(スミスマシンアップライトロー)またはバーベルショルダープレス(バーベルアップライトロー)を2~3セット
④上腕三頭筋のメニュー:スミスマシンナロープレス(ケーブルプレスダウン)またはバーベルナローベンチプレス(バーベルフレンチプレス)を2~3セット
⑤腹筋群・腸腰筋群のメニュー:ケーブルクランチを2~3セット
②週2回目のトレーニング(下半身の筋肉)
①下半身全体のメニュー:マシンレッグプレス(スミスマシンスクワット)またはバーベルスクワットを2~3セット
②大腿四頭筋のメニュー:マシンレッグエクステンションを2~3セット
③ハムストリングスのメニュー:マシンレッグカールまたはバーベルフロントランジ(バーベルスティッフレッグドデッドリフト)を2~3セット
④内転筋群のメニュー:マシンアダクションまたはバーベルサイドランジを2~3セット
③週3回目のトレーニング(上半身の引く作用の筋肉+体幹の後側の筋肉)
①引く筋肉全体のメニュー:Tバーローイング(スミスマシンデッドリフト)またはバーベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:ケーブルラットプルダウン(ケーブルローイング)またはバーベルベントオーバーロウを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:バーベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:マシンカール(ケーブルカール)またはバーベルカールを2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:スミスマシングッドモーニングまたはバーベルグッドモーニングを2~3セット